気のむくまま

思うこと

歯医者さんの温かさに泣いた話

歯医者さんには嫌な思いしかなかった。それだけに今回の歯医者さんに巡り合えたのは幸運なんて言葉では足りないぐらい。

私は歯が悪い。母も叔母も40歳手前で総入れ歯になった。田舎には歯医者さんが少なくて、予約を取るには朝4時起きだった。友人の1人は歯医者の予約を入れに行った帰りに事故にあって帰らぬ人になった。それぐらい歯医者に通うのは昔は大変だった。

こちらに来て歯医者さんの予約は入れやすくなった。が、怒られる。歯が悪いのは私の手入れが悪いのだろうと思って、磨き方を聞いたら今更?と馬鹿にされたりもした。昔の田舎の歯医者さんって、磨き方なんて教えてくれなかったよと心の中で思うけど、言っても言い訳って思われるだろうなと思ったら言えない。

前の歯医者さんは、保険のきかない治療(セラミックとかなんとか)を勧められたので、家人に相談したいと言ったら「もう来ないそうですー」と言われたので、本当にやめたった。今は歯医者さんも多いし、他の歯医者さんに行ってみようと思って。

それで今の歯医者さんへ行った。行きたくなかったけど虫歯になったから。先生は私の歯を見た途端に行った。
「歯で苦労したね」
今までそんな事を言われた事がない。怒られてばかり。我慢しても我慢しても涙が出るので、歯科衛生士さんと先生がティッシュを持ってきて背中をさすってくれた。
歯は遺伝もあるんだよ。唾液の成分とかねっていろいろ話してくれたけど、その後の話は頭に入ってこなかった。こんな歯医者さんがいるんだって衝撃と安堵と、涙を止めようとしても止まらない恥ずかしさで頭の中がいっぱい。今までの歯医者さんとは何から何まで逆だった。磨き方も相談したら、歯科衛生士さんではなく歯医者さんが丁寧に教えてくれた。

恥ずかしすぎて二度と行けねーと思ったけど、きっと忘れてるはず、患者はたくさんいるからと自分に言い聞かせ、素知らぬふりして通ってる。他の病院は考えられない。

歯の定期健診とかクリーニングとか、治療じゃなくても怖い。どれだけびびりよと自分でも笑うけど怖い。怖いけど、優しい先生と優しくて可愛い歯科衛生士さんが待ってると思うと、ちょっとだけ勇気を出せる。

夫に話したら「ちょろい奴」と笑われた。「よかったな。俺もそこに行こうかなー」とも言ってた。2人でちょろい奴になるかも。