気のむくまま

思うこと

ずっと友達だからねと言う時は本心だけど

学生の頃、片手で足りない数の転校をした。合う学校も合わない学校もあった。勉強の進み具合はバラバラで楽が出来る時も追いつくのに大変な時もあった。

大変な思いをしても数か月しかいない学校もあったけど、去る時は皆同じような事を言う。
「ずっと友達だからね。手紙を書くからね」

多分、その時はみんな本当にそう思ってくれるんだと思う。けれど、たいていの人はそのうち手紙が途絶える。最初は元の学校の事を書いて送ってくれたりするのだけど、そこに私はいないのだから昔の話しかお互いが解る話がない。同じ話しか出来ないのでは書く意味がない。

私も書かなくなる。新しい学校で新しい友達が出来、日々の忙しさに流されていく。そのうち私がいない時間を共有できなくなる。ただこういう人達は、再会すると会わなかった間の事を、時間を埋めるみたいに話がはずむ。嫌いになって疎遠になったわけではないのだから関係性は良いままなのだろう。

困るのは、前の学校の話を延々と書いて送ってくる人。〇〇君が何をした、〇〇さんがこう言った。実況中継のように送ってくる。彼女の中では、そこにいない私に知らせているつもりなのだろうなと思う。悪い人ではない。否、むしろ優しい人なのかもしれない。

でも、その空気の中だからこそ笑える事を、文字におこしても読む方は笑えない。すでに関係性が薄くなった人の言動を報告されても興味もわかない。興味がわかない私が冷たい人間のような気がしてくる。

そうなると返事を書く気にはなれず、返事が遅くなればなるほど書けなくなった。その後の再会は気まずくて何故返事をくれないのかと責められたりして、ずっと友達とは程遠い関係になってしまった。

どんなに楽しくてもどんなに名残惜しくても、同じ人と同じように楽しく過ごしたいと思っても、時は止まってくれないのよね。過去に戻れない以上、前に進むしかない。

というようなことを、数年前にお亡くなりになった芸能人の記事を読んで思い出した。彼女も転校が多かったと読んだことがあったので、勝手に親近感を感じて心の中で小さく「がんば!」と思っていた。過去に戻れないのに、過去に縛られたりするんだろうな。